雑記

マルウェアとの一週間 – Cities: Skylines II MODが残した教訓

マルウェアとの一週間 – Cities: Skylines II MODが残した教訓

昨日の以下の記事を読み物に


Cities: Skylines IIのマルウェア感染から学んだこと - 対策と分析の記録
重要な注意事項 本記事に記載されている技術的な分析や対策方法にはセキュリティ研究者やコミュニティからの情報が含まれています。 これらの情報は執筆時点で得られる最善の情報ですが完全な正確性を保証するものではありません。 特に技術的な詳細につい...

この記事をストーリー仕立てにしています


10月31日:予期せぬ警告

「Cities: Skylines IIのTrafficモッドにマルウェアが含まれている可能性があります」

何気なく開いたX(Twitter)のタイムラインに映し出されたParadox公式アカウントの投稿。
その瞬間から私の週末の日常は一変しました。

普段から都市開発ゲームを楽しむために使用していたTrafficというMOD。
その名前を目にした途端背筋が凍りました。

慌ててゲームのMODフォルダを確認します。
Paradox公式の情報から指示された場所には問題の「_13」フォルダが存在していました。

最近確かにゲームで遊んでいた事実が重みを増して心に圧し掛かります。

まず最初に取った行動は即座にネット接続の切断でした。


不安との戦い

信頼していたNortonのセキュリティソフトでスキャンを実施しましたが何も検知されません。

問題の「_13」フォルダは確かにそこにあるのにDLLファイルを悪意のあるものとして認識できないのです。

インターネット上で評判の無料マルウェア対策ツールを次々と試しましたが結果は同じ。

Windows Defenderですら初日は何も見つけることができませんでした。


「もしかして、これは誤報なのではないか」


一瞬そんな淡い期待が頭をよぎります。

深まる懸念

RedditのCities: Skylines IIコミュニティを確認すると、事態の深刻さを物語る投稿が並んでいました。

特に衝撃的だったのは暗号資産ウォレットから資産が消失したという被害報告です。

同様の報告はTrafficMODのフォーラムにも投稿されていました。

私のPCには長年積み重ねてきた大切なデータが詰まっています。

写真、文書、開発中のプロジェクト。
「もしこれがランサムウェアだったら」と考えただけで胸が締め付けられました。


11月1日:続報を待つ日々

公式から予防措置の発表がありましたが、具体的な被害の範囲や対策方法は明らかにされません。

パスワードや個人情報が今この瞬間も静かに外部に送信されているかもしれない。

別PCから重要なアカウントのパスワードを次々と変更していきます。

しかしそれで十分なのか。
システムの最深部まで感染している可能性を考えると不安はつきません。
こういう場合は最悪の最悪を想定するべきです。


長い熟考の末、私は決断を下しました。


「新しいPCを購入しよう」
「新しいPCを組もうとは考えていたそれが早まるだけのことだ」


11月2日:最初の光明

RedditのコミュニティでWindows Defenderでの検知情報を発見。

早速最新版にアップデートしてスキャンを実行すると、ついに問題のDLLファイルが検知されました。


「Trojan:Win32/Shelood」


画面に表示された検知結果に一瞬だけ安堵が走ります。

しかし見つかったのはたった1つのファイル。
これで全てなのか。
新たな不安が湧き上がってきました。
ここから何度も繰り返しフルスキャンをかけ続けました。


11月3日:希望の兆し

Redditとフォーラムでの情報収集を続けていると状況が少しずつ明らかになってきました。

このマルウェアは暗号資産ウォレットのみを標的としているという情報です。

しかし公式からの確認はまだありません。
何が正しいかが判断できません。新PCの準備は進めることにしました。


長年使用してきたPCとの別れを決意するのは簡単ではありません。

でもデジタル資産やプライバシーを守るためそれが最も確実な選択だと判断しました。


11月4日:事態の収束へ近づく

ついに公式から正式な発表がありました。

このマルウェアの標的は暗号資産ウォレットに限定されていたことが確認されたのです。
ただ100%の確証ではなくその可能性が高いという事だけです。

とはいえ、これまでの過度な警戒から少し肩の力が抜けた瞬間でした。

暗号資産に興味がなくウォレットを一切導入していなかった私の場合実質的な被害リスクは限定的でした。
ただこれで確定というわけではありません。
もしかしたらまだ最悪の最悪がある可能性があります。
データ移行はかなり慎重に進めなければいけません。


新環境の構築

PCを新しくするのは良いのですが、新PCの組み立ては実はスタート地点に過ぎませんでした。

本当の苦労はその後の環境再構築にありました。

普段何気なく使っているソフトウェアやデータの数の多さに改めて気づかされます。


感染したPCからデータを安易に移行することはできません。

実行ファイルはもちろんインストーラーですら信頼できない状況。
まさにデジタルの検疫作業です。

写真やテキストファイルなど、比較的安全と思われるデータでさえ移行には細心の注意を払いました。

  1. 移行したいファイルに対して複数のスキャンを実施
  2. 一度、使い捨ての中間オンラインストレージにアップロード
  3. そこから新PCにダウンロード
  4. 新PC上で再度スキャンを実施

この工程を一つ一つのファイルに対して実施していきます。

時間はかかりますが安全性を確保するために必要な手順でした。

どうやらPC全体に広がっているわけではないという情報が出たので手順は若干簡略化してますが、しっかりスキャンをしながら移行しています


教訓

  • 初期段階での慎重な対応の重要性
  • 正確な情報収集の必要性
  • リスクの見極めと対応の最適化
  • バックアップの範囲と頻度の見直し
  • MODの利用に対する慎重な判断

当初は過剰と思えた対応も情報が限られている状況では必要な選択でした。

そして状況が明確になるにつれてより合理的な対応へと移行していく。

この柔軟な判断こそが実は最も重要だったのかもしれません。

結果的には想定したほどの深刻な事態ではありませんでした。

しかしこの経験は私たちのデジタルライフにおける「備え」の重要性を改めて認識させてくれました。

特にMODの利用については、便利さと安全性のバランスを常に意識する必要性を痛感しています。


マルウェアの件をさらに物語風にしてみました。
このネタでしばらく記事を繋ぎます。
明日の更新は疑心暗鬼時に作ったソフトウェアについてです



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