2025年夏アニメ初期レビュー|続き物の安定感と新規作品の現実を検証
はじめに
2025年夏アニメがスタートして約1ヶ月が経過しました。
まだシーズン序盤ではありますが、各種人気ランキングでは『ダンダダン』第2期や『怪獣8号』第2期、『その着せ替え人形は恋をする Season2』といった続き物が上位を占めるという、前回の春アニメと同様の傾向が早くも見えてきています。
今回は16作品を視聴開始し、その中から見えてきた今期の特徴と個人的な感想をお届けします。
前回と同じく、続き物の強さと新規作品の困難さが浮き彫りになった夏でもありそうです。
高評価作品 – 期待を上回る面白さ
「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期」- 言わずもがなの安定感
原作は謙虚なサークル・講談社による人気作品で、1期から引き続き変わらずの面白さを提供してくれています。
現在3話程度まで進行していますが、どんどんきな臭い展開になりつつも原作通りの安定感で楽しめています。
安定した魔法アクションというか、魔法馬鹿の超弩級の強さを振りまく感じが非常に良いです。
1期の評価も高く、Filmarksでは平均スコア3.7点という好評価を得ていただけに、2期への期待も大きく、その期待を裏切らない内容となっています。
転生もののお約束を踏まえつつも、主人公ロイドの魔術への異常なまでの愛情と探求心が他作品との差別化を図っており、今期の人気ランキングでも10位にランクインしています。
「サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと」- 丁寧なストーリー展開が光る
『小説家になろう』でシリーズ累計1.3億PV、シリーズ累計発行部数100万部を超える人気ハイファンタジー作品のアニメ化です。
派手さはそれほどないものの、ストーリー展開の良さが印象的です。
本筋とちょこちょこ別筋があって、問題を解決していく流れが丁寧に描かれています。
どういう展開になるのかがまだ見えない分、先の展開が楽しみで、失望だけはさせないで欲しいと思える作品です。
視聴者からは「第1話から完成度の高さに感動した」という声が相次いでおり、Filmarksでも平均スコア3.9点という高評価を得ています。
人見知りで上がり症の魔術師による潜入護衛という設定も新鮮で、無詠唱魔術という独自の魔法システムも魅力的です。
アニメーション制作はStudio五組が担当し、羊文学がOP・EDテーマを歌うなど、制作面でも注目度の高い作品です。
「ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット」- 猫愛が生んだ異色のパニックコメディ
触られたらゾンビではなく猫になってしまうという、設定もくだらないぶっ飛んだ作品。
原作はホークマン(原作)・メカルーツ(作画)による『月刊コミックガーデン』連載の漫画で、既刊7巻という人気作品です。
くだらないと思いながらも、なぜか見続けてしまう不思議な魅力があります。
無駄にアクションしたりとか、なんか猫すげぇって見ちゃう感じで、馬鹿馬鹿しくてぶっ飛んでて結構楽しめています。
頭空っぽにして楽しめる系の作品として、馬鹿だなぁって笑える良い作品です。
Filmarksでは平均スコア3.5点を獲得しており、総監督に三池崇史、監督に神谷智大を迎えたという豪華なスタッフ陣も話題になっています。
実写映画監督の三池氏がアニメに参加するという意外性も、作品の話題性を高めています。
継続視聴中 – それなりに楽しめる作品群
「その着せ替え人形は恋をする Season2」- 原作ファンには満足
原作漫画が好きで読んでいて、つい最近完結したこともあり、原作を知っているから面白いという感じで視聴中です。
原作の展開が分かっているので先が読めてしまいますが、動くのを見るのが楽しいので見続けています。
納得の映像化という印象で、原作ファンとしては満足できる内容です。
電撃オンラインの人気投票では得票率10.9%で第1位を獲得するなど、続き物としての強さを見せつけています。
CloverWorksによる丁寧なアニメ化で、コスプレシーンの作画クオリティも高く、原作の魅力を損なわない映像化が評価されています。
「公女殿下の家庭教師」- 制作面に不安を抱えるファンタジー
七野りく(著)・cura(イラスト)による富士見ファンタジア文庫の人気作品で、全世界シリーズ累計発行部数85万部を突破している話題作です。
先行1話を見て面白そうだと感じたので視聴していますが、何らかの理由で魔法が使えない子を成長させていく的なストーリーで、まぁありきたりという感じがします。
なんとなくストーリーが読めてしまうわけですが、ぼーっと見る分には良さそうな感じです。
ただし4話で総集編が作られてしまっているので、制作面で順調にはいかなそうな不安もあります。
Filmarksでは平均スコア2.8点と、今期の中では低めの評価となっており、制作状況の厳しさが作品の評価にも影響している可能性があります。
「強くてニューサーガ」- やり直し系としてはそこそこ
やり直していく系のアニメとして、そこそこ面白いかなという感じで視聴中です。
入り込めるかって言うとそうでもなく、どこかで見たストーリーだなという既視感はありますが、どうなるかは見たいかなと思える程度の魅力はあります。
魔王軍の大侵攻まで3年の準備期間があるという設定で、前世の記憶を活かした戦略的な展開が期待できそうです。
「勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる」- 追放物として見やすい
原作読んだことがある系の作品で、追放+無自覚系のお話です。
無自覚の度合いがそこまで極端ではないので見やすい感じがします。
時間があれば見ようかなという程度の位置づけですがそれなりに楽しめています。
追放系とSランク冒険者という組み合わせは定番ながらも、バランスの取れた展開で安定して視聴できる作品です。
「フェルマーの料理」- 数学×料理の異色作
料理系のアニメとして、ちょっと毛色が違っていて面白いかなという感じです。
数学者になる夢を諦めた天才数学少年が料理界に挑む数理的エンタテインメントとして話題になっていますが、原作をちらっと読んだことがあった記憶もあります。
面白いというよりも、変わったアニメだなという感想で見続けています。
料理と数学の関連性についてはまだ理解が追いついていませんが、独特のアプローチが印象的な作品です。
「ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される」- 令嬢系として及第点
令嬢系の作品として、個人的にはそこそこ好きなジャンルなので視聴中です。
姉が可哀想だなと思ってしまう部分があったり、ストーリーは微妙ながらもこれくらいだったらなんとなく見てもいいかなという感じで継続しています。
悪役令嬢ものとは少し違った切り口で、家族関係の複雑さが描かれている点が特徴的です。
微妙だが継続中 – 時間があれば見る程度
「気絶勇者と暗殺姫」- マンネリ化が心配なハーレム作品
『週刊少年チャンピオン』連載の原作:のりしろちゃん、作画:雪田幸路による作品で、既刊12巻という人気作品です。
ハーレム物ということで視聴していますが、そこまで面白くはないという印象です。
すごく飽きの来る味付けみたいな感じで、内容が薄いなぁという気がしています。
脱落しそうな感じがあるアニメの筆頭格です。
Filmarksでは平均スコア2.5点と低評価で、「1話はそこそこ面白かったけど2話は展開が同じ過ぎて飽きた」「もうマンネリしているように感じる」という声が多く聞かれます。
女性耐性がなさすぎて気絶してしまう勇者という設定は面白いものの、同じパターンの繰り返しになりがちで、長期的な視聴継続は困難そうです。
「転生宗主の覇道譚 ~すべてを呑み込むサカナと這い上がる~」- 中国アニメとして物珍しい
中国アニメということで物珍しさから視聴していますが、面白いかって言えばそうでもないかなという感じです。
中国らしいファンタジーで、かなり好みが分かれそうな作品です。
そのうち脱落しそうな予感がしています。
中国アニメ独特の演出や世界観は興味深いものの、日本のアニメに慣れた視聴者には馴染みにくい部分もあります。
「追放者食堂へようこそ!」- 追放+日常系として普通
料理物の漫画原作で、良くも悪くもという感じです。
追放系といえばそうなのかもしれませんが、日常的な部分もあるかなぁまったり系?
内容はやはり薄い感じがして、そこまで面白くはないけれど、なんとなく見るという程度の位置づけです。
追放系×料理という組み合わせは最近増えているジャンルですが、特別な魅力を見つけるのは難しい状況です。
「ブサメンガチファイター」- なろう系として標準的
なろう系の作品として、すごくありきたりな内容です。
頭空っぽにしてぼさーっと見る分にはいいかもしれませんが、楽しいというわけでもありません。
俺強い系要素は見れるので、時間があれば見ようかなという感じの作品です。
タイトル通りの分かりやすい内容で、深く考えずに楽しめる作品として位置づけられます。
「水属性の魔法使い」- 転生ものとして平凡
転生系として、ありきたりなストーリーだなという感じです。
そこまでドキドキはしないものの、なんとなく見続けています。
多分時間なくなったら見なくなる系のアニメの代表格です。
水属性という設定は珍しいものの、それ以外の要素はテンプレート的で、特別な印象を残すのは困難な作品です。
早期脱落した作品たち
1話脱落組
「ゲーセン少女と異文化交流」「CITY」
どちらも1話で脱落となりました。
期待していた分、「CITY」は特に残念でした。
年を取ったから受け入れにくくなったのか、あるいは期待しすぎたのかもしれません。
「よふかしのうた Season2」
1期をしっかり見ていなかったため、内容を覚えておらず、ついていけずに脱落となりました。
2話脱落組
「ブスに花束を」
原作も途中で読むのを辞めていた記憶があります。
内容は悪くないのですが、個人的にはまぶしすぎる内容でした。
続き物の圧倒的優位性
期待度ランキングに見る現実
2025年夏アニメ期待度ランキングでは『ダンダダン 第2期』が1位となり、電撃オンラインの人気投票では『その着せ替え人形は恋をする Season2』が得票率10.9%で第1位を獲得するなど、上位は軒並み続き物が占めています。
続き物が強い理由
- 既存ファンベースの確保
- 前作への満足度による期待値の高さ
- 世界観説明の省略が可能
- 安定した品質への信頼
新規作品の困難な状況
一方で、完全新規作品は厳しい戦いを強いられています。
『ダンダダン』のような作品でさえ、累計発行部数1000万部という実績があってようやく注目を集められる状況です。
個人的な視聴スタイルの変化
見切りの早さは健在
前回の春アニメレビューでも触れましたが、面白くないと感じた作品への見切りの早さは今期も変わりません。
1話で脱落する作品もあれば、数話続けても「内容が薄っぺらい」と感じた時点で視聴を断念する傾向が続いています。
「内容の薄さ」の正体
複数の作品で使った「内容が薄い」という表現について、具体的には以下のような要素を指しています
- 今まで見てきたアニメと同じような内容
- 先が読めるストーリー展開
- なろう系や転生系の定型的なパターンへの依存
- キャラクターや設定の深掘り不足
今期の全体的な印象
質や傾向について
前回の春アニメと比較して、質や傾向についてはそれほど大きな変化は感じられません。
相変わらず続き物が安定して面白く、新規作品は厳しい状況が続いています。
中間評価としての現状
まだシーズン序盤ということもあり、これから化ける作品もあるかもしれません。
特に「サイレント・ウィッチ」については、どのような展開を見せるかに期待しています。
一方で、脱落候補の作品についても、時間の都合で自然に見なくなる可能性が高そうです。
まとめ
2025年夏アニメの初期段階を振り返ると、「続き物の安定感と新規作品の困難さ」という構図は前回から変わらず続いています。
続き物の強さ
「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 第2期」や「その着せ替え人形は恋をする Season2」のように、前作のファンを満足させる安定したクオリティを提供できています。
新規作品の光と影
「サイレント・ウィッチ」のように丁寧な作りで注目を集める作品がある一方で、多くの新規作品は厳しい競争の中で埋もれがちな状況です。
今後への期待
まだシーズン序盤ということもあり、これから評価が変わる作品もあるでしょう。
特に現在継続視聴中の作品については、最終的な評価は夏の終わりまで待ちたいと思います。
視聴者としては、作品選びがより厳しくなっている現状を受け入れつつ、本当に楽しめる作品を見つけていきたいと考えています。
皆さんにとって印象に残った夏アニメはありますでしょうか?
まだまだ夏は続きますので、素晴らしい作品との出会いに期待しています!
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